2012年06月
2012年06月30日
しわがれた声
就職活動をしていた頃の話だ。
電車の中でウトウトしていると
どこからともなく聞き覚えのある
しわがれた声が聞こえてきた。
「兄ちゃんよ、その道は駄目だ。
そのまま行くと生き急ぎになるぜ」
なぜかこの言葉が気にかかった。
その後ある企業に就職したのだが
本当に生き急いでいる状態に陥り
管理職についていたものの
未練なくキッパリ辞めてしまった。
それから半年ほど休んだのち
別の企業に勤めるようになった。
すると再びあの声が聞こえたのだ。
「兄ちゃんよ。その道も駄目だ。
先がまったく見えないぜ」
前のことがあったので
『きっとこれは天の声だ』
と思った。だけど決まったばかりの
仕事を簡単に辞めるわけにはいかない。
そこで十数年過ごしたのだったが
なんとぼくの居場所がなくなった。
いよいよ働く場所がなくなってきた。
企業はもう駄目だと諦め、本当に
先の見えない仕事をぼくは始めた。
その時だ。またまたあの声が聞こえた。
「兄ちゃんよ、その道は正解だ。
その道はあんたそのものだ」
しわがれた声がそう語りかけた。
あれから数年経っている。そろそろ
その結果が見える頃だ。
電車の中でウトウトしていると
どこからともなく聞き覚えのある
しわがれた声が聞こえてきた。
「兄ちゃんよ、その道は駄目だ。
そのまま行くと生き急ぎになるぜ」
なぜかこの言葉が気にかかった。
その後ある企業に就職したのだが
本当に生き急いでいる状態に陥り
管理職についていたものの
未練なくキッパリ辞めてしまった。
それから半年ほど休んだのち
別の企業に勤めるようになった。
すると再びあの声が聞こえたのだ。
「兄ちゃんよ。その道も駄目だ。
先がまったく見えないぜ」
前のことがあったので
『きっとこれは天の声だ』
と思った。だけど決まったばかりの
仕事を簡単に辞めるわけにはいかない。
そこで十数年過ごしたのだったが
なんとぼくの居場所がなくなった。
いよいよ働く場所がなくなってきた。
企業はもう駄目だと諦め、本当に
先の見えない仕事をぼくは始めた。
その時だ。またまたあの声が聞こえた。
「兄ちゃんよ、その道は正解だ。
その道はあんたそのものだ」
しわがれた声がそう語りかけた。
あれから数年経っている。そろそろ
その結果が見える頃だ。
2012年06月29日
寝起き
今朝は晴れているな。
六時半か。これからどうしよう。
軽く目を閉じると三十分が過ぎる。
少し夢が入ると一時間経ってしまう。
そうこうしているうちに朝ドラが始まって
仕事に行くための体と心の準備に追われる。
この余裕のなさがいやなんだ。
やはりこのまま起きていようか。
この暑苦しい布団から這い出して
この間買った本でも読んでいよう。
だけどそれをやってしまうと後が心配だ。
最後の最後で眠ってしまうことは
よくあることだが、それだけならいい。
目が覚めた時出勤時間を過ぎていることが
過去に何度かあったんだ。それが怖い。
今朝は晴れているな。
六時半か。これからどうしよう。
またここに戻ってしまう。
六時半か。これからどうしよう。
軽く目を閉じると三十分が過ぎる。
少し夢が入ると一時間経ってしまう。
そうこうしているうちに朝ドラが始まって
仕事に行くための体と心の準備に追われる。
この余裕のなさがいやなんだ。
やはりこのまま起きていようか。
この暑苦しい布団から這い出して
この間買った本でも読んでいよう。
だけどそれをやってしまうと後が心配だ。
最後の最後で眠ってしまうことは
よくあることだが、それだけならいい。
目が覚めた時出勤時間を過ぎていることが
過去に何度かあったんだ。それが怖い。
今朝は晴れているな。
六時半か。これからどうしよう。
またここに戻ってしまう。
2012年06月26日
たとえば
たとえばですよ、
学生時代に好きだった人と
二人で会う機会があったとしたら、
いったい何を話したら
いいんでしょうね。
学生時代の思い出といえば
『好き!』という感情がその
大部分を占めているために
客観的な部分に話がいかないし、
その後の経歴を披露するにせよ
どうせ自慢話か馬鹿話に
始終することだろうし、
共通の知り合いの近況を
報告しあったとしても
他人のことゆえにすぐに
飽きてしまうことだろうし。
そういった話を羅列したとしても
どうしても断片的になるわけで
きっと間が持たなくなるに違いない。
間が持たなくなるのなら
最初から会わなければいい。
とはいえやっぱり会いたいし・・。
実に妙な気持ちになってしまう。
たとえばなんですけどね。
学生時代に好きだった人と
二人で会う機会があったとしたら、
いったい何を話したら
いいんでしょうね。
学生時代の思い出といえば
『好き!』という感情がその
大部分を占めているために
客観的な部分に話がいかないし、
その後の経歴を披露するにせよ
どうせ自慢話か馬鹿話に
始終することだろうし、
共通の知り合いの近況を
報告しあったとしても
他人のことゆえにすぐに
飽きてしまうことだろうし。
そういった話を羅列したとしても
どうしても断片的になるわけで
きっと間が持たなくなるに違いない。
間が持たなくなるのなら
最初から会わなければいい。
とはいえやっぱり会いたいし・・。
実に妙な気持ちになってしまう。
たとえばなんですけどね。
2012年06月24日
梅雨空
勝手に黒い雲を掃除機で吸い取ってみる
勝手に分厚い雲を脱水機にかけてみる
勝手に雲の中で除湿機をかけてみる
勝手にダムにだけ雨を降らせてみる
勝手に梅雨明けの日を決めてみる
勝手に消費税の価値を試算してみる
勝手にあの政治家から課税してみる
勝手に議会の議題を変えてみる
勝手にあの法案を通してみる
勝手に放射能の基準値を決めてみる
勝手に彼の家を停電してみる
勝手にあの新聞だけ休刊にしてみる
勝手にドラマの結末を変えてみる
勝手に小説のあらすじを変えてみる
勝手にあの歌手を復帰させてみる
勝手に古代の歴史をすり替えてみる
勝手に邪馬台国を琵琶湖に埋めてみる
勝手に日本海の中に首都を置いてみる
勝手に太平洋上に大陸を作ってみる
勝手に先の戦争はなかったことにしてみる
勝手に阿弥陀仏を十字架に掛けてみる
勝手に少年ジャンプを経典にしてみる
勝手にお化け屋敷を日本の霊場にしてみる
勝手に政治家たちに霊を送り込んでみる
勝手に野良猫を環境大臣にしてみる
勝手に分厚い雲を脱水機にかけてみる
勝手に雲の中で除湿機をかけてみる
勝手にダムにだけ雨を降らせてみる
勝手に梅雨明けの日を決めてみる
勝手に消費税の価値を試算してみる
勝手にあの政治家から課税してみる
勝手に議会の議題を変えてみる
勝手にあの法案を通してみる
勝手に放射能の基準値を決めてみる
勝手に彼の家を停電してみる
勝手にあの新聞だけ休刊にしてみる
勝手にドラマの結末を変えてみる
勝手に小説のあらすじを変えてみる
勝手にあの歌手を復帰させてみる
勝手に古代の歴史をすり替えてみる
勝手に邪馬台国を琵琶湖に埋めてみる
勝手に日本海の中に首都を置いてみる
勝手に太平洋上に大陸を作ってみる
勝手に先の戦争はなかったことにしてみる
勝手に阿弥陀仏を十字架に掛けてみる
勝手に少年ジャンプを経典にしてみる
勝手にお化け屋敷を日本の霊場にしてみる
勝手に政治家たちに霊を送り込んでみる
勝手に野良猫を環境大臣にしてみる
2012年06月23日
2012年06月22日
傘を奪われてはならない
この傘を奪われてはならない。
この傘にはぼくの過去と未来と
そして現在が詰まっているのだから。
このエスカレーターを降りたあと
やつらはこの傘を狙ってやってくる。
計画ではぼくを前と右と後ろから
攻撃することになっているらしい。
先程エスカレーターを降りたやつが
すでに出口の右側に回り込んでいる。
正面にはリーダー格の男が
朝からずっと張り込んでいる。
もう一人はぼくの背後にいる。
三人後ろにいる黒い喪服のあの女だ。
ぼくの行く道は当然左側しかない。
だけどそこには逃げるための道がない。
そこで出口の強行突破しかないと
ぼくは今覚悟を決めているところだ。
もうすぐ長いエスカレーターが終わる。
ヒタヒタと三つの足音が聞こえてきた。
やつらの顔も次第にはっきりしてきた。
この傘にはぼくの過去と未来と
そして現在が詰まっているのだから。
このエスカレーターを降りたあと
やつらはこの傘を狙ってやってくる。
計画ではぼくを前と右と後ろから
攻撃することになっているらしい。
先程エスカレーターを降りたやつが
すでに出口の右側に回り込んでいる。
正面にはリーダー格の男が
朝からずっと張り込んでいる。
もう一人はぼくの背後にいる。
三人後ろにいる黒い喪服のあの女だ。
ぼくの行く道は当然左側しかない。
だけどそこには逃げるための道がない。
そこで出口の強行突破しかないと
ぼくは今覚悟を決めているところだ。
もうすぐ長いエスカレーターが終わる。
ヒタヒタと三つの足音が聞こえてきた。
やつらの顔も次第にはっきりしてきた。
2012年06月21日
雨の日に車が渋滞するのは
昔は最初の雨の一粒一粒が
地を穿ち、石を跳ね、穴を掘り
そこに後続の雨の一粒一粒が
溜まるようになっていた。
今や地表はアスファルトに覆われ
最初の雨の一粒一粒も
後続の雨の一粒一粒も
地を穿つことが出来ず
地面いっぱいに広がっていく。
地を踏みしめて歩く人には
大変歩きやすい地表なのだが
車だと速度を上げると車体は浮いて
ツルリツルリと滑ってしまう。
多くの車の人はそうならないように
速度をゆるめて慎重に走っている。
ところが中にその理屈のわからない
頭のたいへん悪い輩がいて
奴らがこの世の和を乱している。
奴らには天気なんて関係なく
いつもと変わらぬ走りをし
他車にもそれを強要する。
それで全体の流れが狂ってしまう。
雨の日に車が渋滞するのは
頭のたいへん悪い輩たちが
実は原因になっているのだ。
地を穿ち、石を跳ね、穴を掘り
そこに後続の雨の一粒一粒が
溜まるようになっていた。
今や地表はアスファルトに覆われ
最初の雨の一粒一粒も
後続の雨の一粒一粒も
地を穿つことが出来ず
地面いっぱいに広がっていく。
地を踏みしめて歩く人には
大変歩きやすい地表なのだが
車だと速度を上げると車体は浮いて
ツルリツルリと滑ってしまう。
多くの車の人はそうならないように
速度をゆるめて慎重に走っている。
ところが中にその理屈のわからない
頭のたいへん悪い輩がいて
奴らがこの世の和を乱している。
奴らには天気なんて関係なく
いつもと変わらぬ走りをし
他車にもそれを強要する。
それで全体の流れが狂ってしまう。
雨の日に車が渋滞するのは
頭のたいへん悪い輩たちが
実は原因になっているのだ。