2009年07月
続・何年何月何日何時何分何秒
三年後に金環日食が見えて、
二十六年後にまた皆既日食が見えて…。
ぼくは理科が苦手なのでよくわからないが、
これってみんな計算で割り出すんだったな。
大昔の人がそれを知ったら、
きっと大騒ぎしたことだろう。
なぜなら彼らにとっての天変地異は、
王の怒り、ひいて神の怒りであるからだ。
もし計算で割り出せますよなんて言ってしまうと、
そういう風に民衆を洗脳した王の権威は保てないし、
それを巧みに演出した占い師の地位も保てない。
とはいえ知っていれば今回のように、
天体ショーを楽しむための新たな商売も生まれるわけで、
そうなると王も少なからず利益を得られるわけで、
神を背景にしなくても財を背景にして権威を保てるから、
面倒くさい祭祀をする必要もなくなるし、
面倒くさい祭祀をする必要がなくなるから、
うさんくさい占い師などを周りに侍らす必要もなくなるし、
実に爽快な気分で日々を過ごせることだろう。
王にとってはそれこそがロマンだ。
二十六年後にまた皆既日食が見えて…。
ぼくは理科が苦手なのでよくわからないが、
これってみんな計算で割り出すんだったな。
大昔の人がそれを知ったら、
きっと大騒ぎしたことだろう。
なぜなら彼らにとっての天変地異は、
王の怒り、ひいて神の怒りであるからだ。
もし計算で割り出せますよなんて言ってしまうと、
そういう風に民衆を洗脳した王の権威は保てないし、
それを巧みに演出した占い師の地位も保てない。
とはいえ知っていれば今回のように、
天体ショーを楽しむための新たな商売も生まれるわけで、
そうなると王も少なからず利益を得られるわけで、
神を背景にしなくても財を背景にして権威を保てるから、
面倒くさい祭祀をする必要もなくなるし、
面倒くさい祭祀をする必要がなくなるから、
うさんくさい占い師などを周りに侍らす必要もなくなるし、
実に爽快な気分で日々を過ごせることだろう。
王にとってはそれこそがロマンだ。
2009年07月27日
何年何月何日何時何分何秒
三年後に金環日食が見えて、
二十六年後にまた皆既日食が見えて…。
ぼくは理科が苦手なのでよくわからないが、
これってみんな計算で割り出すんだったな。
いにしえの占い師が亀の甲羅を焼き、
命をかけて不完全な結果を求めていたのに、
今はその知識さえあれば小学生だって、
電卓ひとつで完全な結果を求められるのだ。
しかし何年何月何日何時何分何秒なんて、
宇宙の時間からすれば偶然の範疇じゃないか。
そんな偶然を電卓で計算できるんだから、
これは実にすごいことだ。
そこまでやれるんだったら、
何年何月何日何時何分何秒に運命の人に出会い、
何年何月何日何時何分何秒に結婚して、
何年何月何日何時何分何秒にこの世を去る、
なんてことが計算できても何の不思議はない。
だけどいまだにそれはできない。
だから人は今でも星やカードや手相などを、
いにしえの亀の甲羅代わりに使い、
不完全な結果を求めているのだ。
しかしそれはそれでいいんだと思う。
人生がその瞬間までわからないのは、
きっとわからないほうがいいからだ。
だからこそ人生はロマンなのだ。
二十六年後にまた皆既日食が見えて…。
ぼくは理科が苦手なのでよくわからないが、
これってみんな計算で割り出すんだったな。
いにしえの占い師が亀の甲羅を焼き、
命をかけて不完全な結果を求めていたのに、
今はその知識さえあれば小学生だって、
電卓ひとつで完全な結果を求められるのだ。
しかし何年何月何日何時何分何秒なんて、
宇宙の時間からすれば偶然の範疇じゃないか。
そんな偶然を電卓で計算できるんだから、
これは実にすごいことだ。
そこまでやれるんだったら、
何年何月何日何時何分何秒に運命の人に出会い、
何年何月何日何時何分何秒に結婚して、
何年何月何日何時何分何秒にこの世を去る、
なんてことが計算できても何の不思議はない。
だけどいまだにそれはできない。
だから人は今でも星やカードや手相などを、
いにしえの亀の甲羅代わりに使い、
不完全な結果を求めているのだ。
しかしそれはそれでいいんだと思う。
人生がその瞬間までわからないのは、
きっとわからないほうがいいからだ。
だからこそ人生はロマンなのだ。
2009年07月24日
S氏の生涯
いったいオレは何のために生まれてきたんだろう。
気がついた時には卵の中にいて、
そこから必死に這い出した。
初めて土に身をさらした時は痛かったけど、
それもじきに慣れていった。
食べ物には困らなかったな。
そこにあるもの何でも口の中に入れていったから、
腹の減る暇はなかったよ。
それでブクブクと肥えていったんだ。
土の生活は何年続いたんだろう?
そこには天敵もいたけれど、
今となってはいい思い出だ。
ついこの間のことだった。
なぜか太陽が見たくなったんだ。
そう思うと息が苦しくなってきた。
そこで必死に地上に這い上がっていったんだ。
生まれて初めて見る太陽にまぶしさをおぼえ、
生まれて初めて見る樹木に心地よさを感じた。
生まれて初めての地上にとにかくオレは興奮した。
ところがそれからしばらくすると、
だんだん体が固まっていった。
そしてそのまま動けなくなった。
動けない時間はけっこう長かった。
オレは卵の中にいた時のことを思い出して、
その間ずっともがいていた。
それがよかったみたいで、
体に貼り付いていたものが剥がれて、
急に体が軽くなった。
そのとたんバシッという音とともに体が破れ、
光が差し込んできた。
やっとの思いで体から這い出すと、
なぜか腹回りがスースーする。
よく見ると足が生えているではないか。
おまけに背中がむずがゆい。
そこで体を揺すってみると、
あれあれ宙に浮いている。
いったい何が起こったんだろうと、
木に止まって考えた。
するとお尻が細かく震えだし、
わけのわからぬ音が出るんだ。
今度は音との闘いだ。
とにかく無意識に音が出るもんだから、
もうどうしようもない。
そしてその音が納まらぬままに、
今日という日を迎えた。
その音を聞いて女がやってきた。
そしてしきりにオレを誘惑する。
えっ、なんだこの気持ちは!?
オレは無性にその女が欲しくなった。
女が欲しい、女が欲しい、女が欲しい!!
…ことを終えてオレは今、
地面の上をのたうち回っている。
何度羽を動かしても飛べないんだ。
オレのそばを人や犬が歩いている。
もう死ぬのかなあ…?
いったいオレは何のために生まれてきたんだろう。
気がついた時には卵の中にいて、
そこから必死に這い出した。
初めて土に身をさらした時は痛かったけど、
それもじきに慣れていった。
食べ物には困らなかったな。
そこにあるもの何でも口の中に入れていったから、
腹の減る暇はなかったよ。
それでブクブクと肥えていったんだ。
土の生活は何年続いたんだろう?
そこには天敵もいたけれど、
今となってはいい思い出だ。
ついこの間のことだった。
なぜか太陽が見たくなったんだ。
そう思うと息が苦しくなってきた。
そこで必死に地上に這い上がっていったんだ。
生まれて初めて見る太陽にまぶしさをおぼえ、
生まれて初めて見る樹木に心地よさを感じた。
生まれて初めての地上にとにかくオレは興奮した。
ところがそれからしばらくすると、
だんだん体が固まっていった。
そしてそのまま動けなくなった。
動けない時間はけっこう長かった。
オレは卵の中にいた時のことを思い出して、
その間ずっともがいていた。
それがよかったみたいで、
体に貼り付いていたものが剥がれて、
急に体が軽くなった。
そのとたんバシッという音とともに体が破れ、
光が差し込んできた。
やっとの思いで体から這い出すと、
なぜか腹回りがスースーする。
よく見ると足が生えているではないか。
おまけに背中がむずがゆい。
そこで体を揺すってみると、
あれあれ宙に浮いている。
いったい何が起こったんだろうと、
木に止まって考えた。
するとお尻が細かく震えだし、
わけのわからぬ音が出るんだ。
今度は音との闘いだ。
とにかく無意識に音が出るもんだから、
もうどうしようもない。
そしてその音が納まらぬままに、
今日という日を迎えた。
その音を聞いて女がやってきた。
そしてしきりにオレを誘惑する。
えっ、なんだこの気持ちは!?
オレは無性にその女が欲しくなった。
女が欲しい、女が欲しい、女が欲しい!!
…ことを終えてオレは今、
地面の上をのたうち回っている。
何度羽を動かしても飛べないんだ。
オレのそばを人や犬が歩いている。
もう死ぬのかなあ…?
いったいオレは何のために生まれてきたんだろう。
2009年07月23日
最後の夏休み
高校三年の夏休み、
ぼくらはドラムのセットを抱え、
田んぼのあぜ道を歩いていた。
空には一片の雲もなく、
午後の日差しが頭をめがけ、
容赦無しに降り注ぐ。
ジージーワシワシ樹木の蝉と、
ギーギーギッチョン草むらの虫が、
だらしい暑さのリズムを刻む。
ドラムを持つ手はふさがって、
顔の汗さえぬぐえない。
風もないから汗は乾かず、
ポタリポタリとしたたり落ちる。
気がつきゃ汗はスティックよろしく、
スネアの腹を叩いてる。
ツマランタタンと叩いてる。
卒業後の進路のこととか、
それを踏まえた勉強だとか、
そんなものには関心もなく、
ぼくらはだらしくツマランタタンと、
田んぼの中を歩いていた。
※だらしい…北九州方面の方言で、「だるい」とか「かったるい」とかいう意味。
ぼくらはドラムのセットを抱え、
田んぼのあぜ道を歩いていた。
空には一片の雲もなく、
午後の日差しが頭をめがけ、
容赦無しに降り注ぐ。
ジージーワシワシ樹木の蝉と、
ギーギーギッチョン草むらの虫が、
だらしい暑さのリズムを刻む。
ドラムを持つ手はふさがって、
顔の汗さえぬぐえない。
風もないから汗は乾かず、
ポタリポタリとしたたり落ちる。
気がつきゃ汗はスティックよろしく、
スネアの腹を叩いてる。
ツマランタタンと叩いてる。
卒業後の進路のこととか、
それを踏まえた勉強だとか、
そんなものには関心もなく、
ぼくらはだらしくツマランタタンと、
田んぼの中を歩いていた。
※だらしい…北九州方面の方言で、「だるい」とか「かったるい」とかいう意味。