2008年03月

2008年03月14日

電車

ゆっくりゆっくり、
電車はホームに入ってきた。
そこで我慢してなかったら、
ぼくはこの電車に
乗ることは出来なかっただろう。
一両目の一番前の指定席。
電車に乗り込んでからは速かった。
これまでの遅れを取り戻すかのように、
電車は一気に発進した。


mengly at 23:46|Permalink詩風録 

2008年03月12日

血液型

結論からいえば
血液型で人を見てしまうことが
この国の滑稽さで
そういう国民だと
見られていることに気づいていない。
だからそういう思い込みはやめなさい
という一部の人たちは異端視される。
だけどその異端児たちも
素直に異端児だと受け入れてしまうことが
この国の血液型だ。


mengly at 23:45|Permalink詩風録 

2008年03月10日

笑み

故知らず私は何かを期待している。
胸の中がワクワクしている。
心の底がウキウキしている。
自然笑みが出る。
周りの人は不思議な顔をする。
おかしな奴だと軽蔑している。
思い出し笑いして気味の悪い奴だと、
目をそらす者もいる。
だけど故知らず私の胸の中は
期待でいっぱいなのだ。
うれしくてたまらないのだ。
そこでまた笑みを浮かべる。
するといよいよ気味悪がって
誰も寄りつこうとしなくなる。
一人帰り二人帰りする。
あとには誰も残らない。
そして私一人になってしまう。
だけど私はまだ期待に震えている。
それがどうしてだかわからない。
わからないが笑みを浮かべている。


mengly at 23:45|Permalink詩風録 

2008年03月09日

歌のネズミ

歌のネズミが着飾って
ブルースを歌ってる
客もまばらなステージで
ブルースを歌っている

息も絶え絶えに歌うので
客は聞きづらそうな顔している
ギターと歌が合わないので
客は聞きづらそうな顔している

それでも少しは拍手もある
薄汚れた倉庫の中で
それでも少しは拍手もある
港の近くなので聞こえないけど

歌のネズミが着飾って
ブルースを歌ってる
誰にも聞こえない小さな声で
さびしいブルースを歌ってる


mengly at 23:44|Permalink詩風録 

2008年03月08日

私という民族

心の扉を開けてごらんなさい。
おそらく無数とも思えるほどの、
私という民族が住んでいるのです。
その中の一人一人が時を得て、
主役として現れては消えていく。
この入れ替わり立ち替わりの繰り返しが、
私という民族の歴史を刻んでいるのです。
やがて私という民族が最後の一人になった時、
私という民族はその一人を結論として、
滅んでいくのです。


mengly at 23:44|Permalink詩風録 

2008年03月07日

うっすらと月が出ている

うっすらと月が出ている。
ひとつふたつの言葉なんか、
簡単に忘れさせる夜だ。
大きな月だ。
大きな月にうっすらと雲がかかって、
今はぼくらの影を映さない。
だけどこの雲もいつかは晴れる時が来る。
ほら、秋から冬にかけての星座群が、
あんなにまぶしく光っているんだから。
ふふ、うっすらと月が出ている。


mengly at 23:43|Permalink詩風録 

2008年03月06日

感情の酒

古い酒樽に無数の割れ目が入り、
感情の酒がこぼれ出している。
かなり前から起きていたのだろう、
酔いはかなり回っているようだ。
足下はふらついているし、
口もうまくまめらない。
いつ吐いてもおかしくない状態で、
ぼくは人生を漂っている。


mengly at 23:42|Permalink詩風録 

2008年03月05日

古宿

この古い家の主は昨日から、
胃けいれんを起こして七転八倒している。
ぼくはこれをチャンスだと思い、
家移りを考えることにした。

家主の大騒ぎが静まるのを待って、
そっと家を抜け出してやるんだ。
笑ってすませられるような家じゃなかったんだから、
黙ってここを去ったって別に気にすることもない。

住まいといえばここしかないような気がしていたけど、
それが間違いだったようだ。
きっと今まで夢を見ていたんだ。
そう、錯覚していたんだよ。

寂しさだってあったんだよ。
ここでは友だちも出来ない苦痛もあってね。
時々ここに住んでいて怖ろしくもなったし。
ま、いいや、それもあと少しのことなんだから。


mengly at 23:42|Permalink詩風録 

2008年03月04日

おはようのブルース

朝起きましてね、コーヒーを入れたんです。
わたしゃあまり胃が強くないほうなもんで、
ミルクをたっぷり入れましてね、
逆に砂糖は少なめにしたんです。

ちょっと寝不足もたたってか、
今日はどうもうまくない。
それでもせっかく入れたんだからって、
音を立てて飲み干しましたよ。

ほーら湯気が出る、湯気が出る。
タバコといっしょに湯気が出る。
頭も便乗湯気が出る。
空の中からも湯気が出る。

おや、あれはもやでしたよね。
朝もやか、いやいい陽気になりまして、
わたしゃ上着を脱いで外を歩く。
ついでに雪駄も外を歩く。


mengly at 23:41|Permalink詩風録 

2008年03月01日

卒業

雪は残り花は遅れていた。
しかし彼らは知り尽くしていた。
一つの旅が終わったことを。

みんなどこでもいいから吹き飛びたいと言った。
というのも彼らの行くところはなかったから。
一つの旅が終わった時に。

 薄暗い空から雨も降り始めていた。
 でもちょっと見回すと晴れ間も見えていた。

誰かが死んでもいいと言った。
でももう死ぬところもないだろう。
一つの旅が終わっているから。

何か一つ元気が欠けた。
大人たちは喜んだ。
一つの旅が終わっていた。

 薄暗い空から雨も降り始めていた。
 でもちょっと見回すと晴れ間も見えていた。

雪は残り花は遅れていた。
しかし彼らは知り尽くしていた。
一つの旅が終わったことを。


卒業



mengly at 23:40|Permalink吟遊詩